眺めるだけで性的欲求が満たされる

現在は、軽くフェチと略されて、何かにこだわっているという、程度の使い方をされている言葉ですが、正式には、フェティシズと言います。

原義は、古い意味では、宗教的な呪物崇拝という意味があります。

1760年にド・ブロスが『フェティッシュ諸神の崇拝』を出版しています。

これは、西アフリカで原住民が自然物を崇拝しているところを、ポルトガル人の水夫が見て、ポルトガルの礼拝に似ていると思ったという話で、フェティシズムは、宗教的崇拝の対象である護符を意味する、ポルトガル語フェティソを語源としています。

フェチと略されたフェティシズムという言葉は、性的倒錯を表します。

これはアルフレッド・ビネーが1887年に、下着など身に着けるものや靴など、本来単独では、性的な対象にならないものに性的な魅力を感じることを、フェティシズムとして発表したところからきています。

さらに、物だけではなく、異性の全体ではなく、肉体の一部や異性の象徴となるようなものにまで、対象が広がっています。

肉体の一部であれば、手、足、髪、耳などがあります。

象徴の場合であれば、皮革製品や毛皮などがあります。

対象となる人間が目の前にいなくても、身に着けるものや象徴するもので、性的興奮を感じることであり、また好んでそういう品物を購入したり収集したりして秘かな楽しみとします。

精神医学では、フェチは趣味嗜好ではなく、性的対象の歪曲と言われます。

6カ月以上持続している対象物に対する性衝動、妄想があり、その衝動・妄想に・行動により苦痛を感じ、社会的ないしは職業的障害が生じている状態を指します。

しかし、苦痛を感じていても、本人が精神科医に診てもらう意思がなければ、診断はくだらないわけです。

あくまで精神科医に診察を受け、本人が苦痛を直したいというときに、病名がつけられるのです。

フェティシズムそのものが、犯罪につながることは、ほとんどありません。

まためったに精神科に受診にくるフェティシズムの人もいません。

基本的に、本人が困っていなければ問題にならないからです。

たしかに、対象物がないと性的に機能しなくなる場合があります。

この場合でも、パートナーの合意が得られ、性行為に対象物を持ち込むことができれば、性行為自体に問題はなくなります。

ただフェティシストの中には、実際の性行為よりも、対象物を眺めたり触ったりするだけで、性的欲求が満たされる人や、対象の人(その人の一部分、手や足や髪の毛)を眺めるだけで、性的欲求が満たされる人が多数存在しています。